Department of Pharmacy
Yokohama General Hospital
病棟における薬剤師業務の目的
入院から退院するまでの薬物治療を医師とともに考え、個々の患者さんに合ったお薬を提供することで、患者さんの生活の質の向上に寄与できることを目標として、日々の業務を行っております。
[薬剤師の病棟活動]
当院では、各病棟に常時薬剤師を1名配置し、下記のような業務を行っております。
・患者さんが入院された際に使用されていたお薬の内容の確認
・お薬の副作用、アレルギーの確認
・入院前に使用されていたお薬と、入院後のお薬の中で個々の患者さんに最適なお薬を選択すること
・複数のお薬の相性の確認(点滴の配合変化や体内での相互作用に関する確認など)
・しっかりとお薬をお飲みいただくための服薬支援(お薬の作用、副作用の理解、管理方法など)
・病棟における医薬品の管理(個々の患者さんのお薬の管理、点滴薬などの在庫管理)
◎2階西病棟(循環器・心臓血管外科・創傷ケアセンター)
2階西病棟では、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)・心不全・心臓弁膜症、下肢潰瘍、糖尿病性壊疽を発症された患者さんを中心に薬剤師の専門性を発揮すべく、病棟活動を行っております。具体的には、上記疾患の患者さんの背景に応じた抗凝固薬(血液をサラサラし血栓を予防するお薬)、長期間再発しないために最適なお薬の選択、腎機能に応じたお薬の使用量の調整、感染症に対する最適な抗菌薬の選択、入院後に新たに始まるお薬の効果と副作用、服用していただく目的などを中心に服薬支援を行っております。
特に、循環器領域の疾患は長期的お付き合いとなるため、個々の患者さんの理解度に応じ何度も服薬支援を行うことで、退院後しっかり管理できるよう努めています。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
日本アンチ・ドーピング機構 スポーツファーマシスト
◎2階東病棟(産科・婦人科)
当病棟には、婦人科の疾患で手術される患者さんや、がん(卵巣がん、子宮体癌など)の治療されている患者さん、妊婦さんが入院されます。手術を行う患者さんには、不安の無いように入院中に使用する薬の説明をしたり、抗がん剤の治療をされる患者さんには、薬の効果や副作用、日常生活での注意点などの説明、副作用が最小限に抑えられるように投与量を医師と検討しています。
また、妊婦さんや授乳婦さんにも安心してお薬を飲んでいただけるように、お薬の選択についての相談や説明を行うように努めています。
担当者の取得資格:日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師、日本リウマチ財団登録薬剤師、糖尿病療養指導士
日本腎臓病薬物療法学会腎臓病薬物療法認定薬剤師
◎集中治療室(ICU)
ICU病棟は重症肺炎、心不全、心筋梗塞、てんかん重積発作、脳・心臓・消化器・整形疾患の手術後など、集中治療を必要とする患者さんがご入院されます。集中治療室では、種々の症状に応じて様々な薬剤を使用するため、その都度、選択する薬剤を医師と検討しております。また、集中治療時は、肝臓や腎臓などの臓器機能が低下している中で様々な薬剤が点滴で体内に投与されることも多いため、それらの注射薬の最適な投与量、投与する部位、投与速度、配合変化、使用薬の副作用の有無などを確認して、薬剤が安全に使用されるように支援しております。さらに、早期回復を目指した栄養管理なども支援しております。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
◎3階東病棟(脳神経外科)・脳卒中ケアユニット(SCU)
3階東病棟では、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、頭部外傷などを発症され、ご入院された患者さんを中心に薬剤師の専門性を発揮すべく、病棟活動を行っております。特に脳卒中などは、ご高齢の方で多くのお薬を使用している患者さんが多いこと、リハビリの進捗状況によって、点滴からの投与、チューブから投与、粉砕しての服用、通常の錠剤、カプセルなどでの服用と薬剤の投与・調整方法が異なることから、毎日医師、看護師と共同で回診を行い、回診時、薬の効果・副作用、調整方法を確認しております。また、一部の薬剤(てんかんの治療薬など)では、治療の幅と副作用の幅が近いため、採血時に血液中の濃度を測定しながら、安全性を確認しています。さらに、麻痺などの程度によって、お薬の管理方法、服用方法も異なるため、ご本人、ご家族と相談の上で、管理方法(一包化調剤、お薬カレンダーの利用)の支援、お薬の説明に力を入れております。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
◎3階西病棟(整形外科・歯科口腔外科)
3階西病棟では、主に骨折された患者さんが手術や安静目的でご入院されます。また、蜂窩織炎などの感染症、抜歯や口腔内感染症などの患者さんもご入院されます。手術目的の患者さんには、周術期のお薬の管理(血液さらさらのお薬の休薬や、術後の血栓予防のお薬など)や、高齢の患者さんが多いため、入院前から服用されている高血圧や心臓病などの基礎疾患のお薬が正しく投薬されているかの管理も行い、より良い薬物治療を継続できるように支援しています。また、骨折の原因となる骨粗鬆症の治療にも、医師、看護師とチームを組んで患者さんの骨折予防のために積極的に取り組んでいます。骨粗鬆症治療薬の継続の必要性や、服用方法などを支援して長期に継続できるように努めています。
感染症に対しては、抗菌薬の選択、量などについて、医師と相談して早期に治療ができるように支援に努めています。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師、日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症マネージャー、
日本腎臓病薬物療法学会 腎臓病薬物療法認定薬剤師
◎4階東病棟(内科・神経内科)
4階東病棟では、肺炎・尿路感染症などの感染症、慢性閉塞性肺疾患を悪化された方、喘息発作の方、糖尿病の治療目的の方、パーキンソン病の方、造血器腫瘍(悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群、白血病)の方などがご入院されます。病棟薬剤師の主な役割としては、感染症は、発生した臓器や感染された患者さんによっても原因となる菌が異なるため、それぞれに最適な抗生剤の選択と投与量を医師と検討し、感染症の治療を支援しております。抗生剤の中には、効果と副作用の幅が近い薬剤もあるため、採血時に血中濃度を確認しながら、安全にお薬を使用できるようにも支援しております。
糖尿病の治療目的でご入院された患者さんには、糖尿病の治療薬全般に関するお薬の作用、副作用の説明、副作用が出現した際の対応方法、糖尿病の合併症とその予防方法、インスリンを導入される方にはその使用方法なども説明しております。また、喘息、慢性閉塞性肺疾患の患者さんは長期間に渡り、吸入薬を使用する必要もありますので、吸入薬の手技、発作時に使用する薬剤と症状をコントロールする目的で使用する薬剤の使い分けなども説明し、長期間に渡って上手にお薬と付き合っていけるように努めております。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師
◎4階西病棟(消化器内科・外科、乳腺外科、泌尿器科)
4階西病棟では、がん(胃がん、大腸がん、膵がん、胆管がん、乳がん)、腹膜炎、腸閉塞、尿路感染症、腎不全などを発症された患者さんが多く入院されます。また、手術を行われる患者さんも多いため、手術前に中止が必要なお薬の確認や、手術時の感染予防に使用する抗生剤、術後の痛みを緩和するお薬の選択やお薬の量の調整などを医師と共に行っています。さらに抗がん剤による治療を実施される患者さんには、お薬の効果、注意が必要となる副作用とその対策、治療中、日常生活を行う上で注意していただきたいことなどについて説明しております。また、患者さんからのご質問やご不安な点、副作用の症状なども確認しながら、安心して治療を続けられるように支援しております。
担当者の取得資格:日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師、日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師